「ごめん」 彼女は震える手を止められないままに僕の手を握り返してきた。 「わからないのよどうしてか。もうちょっとこうしてて」 鎌倉の寂れた喫茶店。中途半端なアールデコ調のレイアウト。 くすんだ壁紙。変な花瓶。シュールとしか言いようの無い、僕好 …
「あんたの手って温かいよね」 「やっぱり?よく言われる。心が冷たいらしいよ」 「それ古い。あたしは冷たいから。だからあんたの手、好きよ。 温かくて。気持ち良い」 「そうか?俺はお前みたいに冷たい手の方が気持ちいいけど」 彼女は、自分は冷え性だか…
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